市街化調整区域で中古自動車屋をやりたい

市街化調整区域で中古自動車屋
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市街化調整区域で中古自動車屋をやりたい

市街化調整区域で中古自動車屋をやりたいが、開発許可や建築許可が必要と市役所で言われた。
自分では申請できないためお願いしたい。

とのご相談があった。

調整区域で新たに事務所と整備工場を建築するにはどうしたらいいのか?
そもそも調整区域で中古自動車屋ができるのか?

結論は『できる』
ただし要件を満たさなければいけない。

調整区域で中古自動車屋のための開発許可・建築許可の要件とは

自動車整備工場認証の話し

愛知県内の調整区域で中古自動車屋の整備工場建築のための開発許可・建築許可の要件はいくつかあるが、まずは最低限以下の基準を満たせるか確認をしよう。

  • 1級もしくは2級自動車整備士の資格がある。もしくは雇用できる。
  • 工員数2名以上(自分を含めて)
  • 自動車整備業の認証を受けることが出来る
  • 板金、塗装を主とするものではないこと

この他にも古物商許可を取得するとか細かいものはいくつかありますが、それらは比較的簡単に対応できるので、まずは上記のハードルをクリアできるかが重要。

自動車整備工場には認証工場と指定工場があります。その違いは?

 自動車の「分解整備」(※)を行おうとする場合は、地方運輸局長の「認証」を受けなければなりません(道路運送車両法第78条第1項)。この「認証」を受けた工場を「認証工場」と言います。
 また、認証工場のうち、設備、技術、管理組織等について一定の基準に適合している工場に対して、申請により、地方運輸局長が指定自動車整備事業の指定をしています。この「指定」を受けた工場を「指定工場」と言います(一般には「民間車検場」又は「民間車検工場」とも呼んでいます。道路運送車両法第94条の2第1項)。
(※)「分解整備」とは、原動機、動力伝達装置、走行装置、操縦装置、制動装置、連結装置を取り外して行う自動車の整備又は改造をいいます(道路運送車両法第49条第2項、同施行規則第3条)。
※国土交通省ウェブサイトより引用 https://www.mlit.go.jp/jidosha/ninshoutoshiteinochigai.html

認証工場とは

一定の規模の作業場と作業機械、分解整備に従事する従業員を有する工場に対し、申請により、地方運輸局長が自動車分解整備事業の認証をしています。この認証工場に車検を依頼した場合、認証工場は、運輸支局、自動車検査登録事務所等(いわゆる「車検場」です。)に車両を持ち込んで検査を受けます。なお、認証工場では、次の様式の標識を公衆の見易いように掲げてあります。
※国土交通省ウェブサイトより引用 https://www.mlit.go.jp/jidosha/ninshoutoshiteinochigai.html

認証工場

指定工場とは

認証工場のうち、自動車の整備について一定の基準に適合する設備、技術及び管理組織を有するほか、自動車の検査の設備を有し、かつ、自動車の検査を行う者(「自動車検査員」と言います。)を選任して自動車の点検及び整備について検査をさせると認められるものについて、地方運輸局長が指定自動車整備事業の指定をしています。この指定工場に車検を依頼した場合、指定工場では、自動車の点検整備を行い、自動車検査員が検査を行った結果、保安基準の適合性を証明し、保安基準適合証を交付します。この保安基準適合証を運輸支局、自動車検査登録事務所等に提出することにより、車両の持ち込みが省略できます。なお、指定工場も次の様式の標識を見易いように掲げています。
※国土交通省ウェブサイトより引用 https://www.mlit.go.jp/jidosha/ninshoutoshiteinochigai.html

指定自動車整備事業

まず認証を受けないといけないの?これから建築するのに?

結論から、認証受ける必要はありません。

既に受けている場合は問題ありませんが、これから開業して建築する予定では当然に先に認証を受けられません。
建物が建たない限り認証を受けることができませんし、建築許可・開発許可がされないことには建物は建てられません。
卵が先か、鶏が先かという二律背反の問題が生じます。

そこで建築許可・開発許可においては、認証までを求められているわけではなく、相当の蓋然性が確認できれば許可がされます。相当な蓋然性とは、それを証明する証拠書類を提出することで得られます。

都市計画法第34条第1号

ここから先は建築許可・開発許可の話しになります。

都市計画法第34条第1号には自動車整備業の他に、市街化調整区域で建築・開発できるカテゴリが限定列挙されています。
この限定列挙とは、ここに記載がある業種しか認められないってことです。

限定列挙されている業種

  • 織物・衣服・身の回り品小売業
  • 飲食料品小売業
  • 機械器具小売業
  • その他の小売業
  • その他の小売業
  • 一般飲食店
  • 療術業
  • 協同組合(他に分類されないもの)
  • 洗濯・理容・美容業
  • その他の生活関連サービス業
  • 自動車整備業
  • その他の教育、学習支援業
  • 機械修理業
  • その他(地区集会所、消防団詰所、防災資機材倉庫、現金自動預け払い機(ATM))

このように限定列挙されているが、やろうとしている業種が該当しているか、さらに内容を精査してみよう。
今回の例では中古自動車屋のため、それに伴う関連許可(工場認証、自動車整備士、古物商許可)が必要になった。

もしやりたいのが中古自動車の販売がメインで、分解整備や車検をメインにしたいわけではない場合はどうだろう?
最低限、事務所があればいいかな?と言うことなのか、いや絶対に工場(倉庫)が必要だと言うことなのか。

結論から、認証を受けられない自動車整備工場は、建築許可・開発許可はうけられない。
つまり建築できない。

でも諦めるにはまだ早い。なぜなら建築物に該当しないものは設置できるからである。
建築物に該当しないもので事務所として利用できるものといえばトレーラーハウスだ。
ナンバーを付けていて、いつでも移動させることが出来る状態のトレーラーハウスは建築物に該当しないため、建築許可・開発許可が不要だ。

でも、プレハブやコンテナハウスみたいな事務所が欲しいんだよね。という意見もあるでしょう。
そこで都市計画法第34条14号の該当項において、事業の監視のための施設なら建築できる。見るからに事務所であったとしても、監視施設であれば建築許可が得られる。

しかしながら、重大な落とし穴をお教えすると、建築許可が得られるプレハブやコンテナハウスは巷にはほとんど無い。
つまりは建築許可が得られるプレハブやコンテナハウスはとても高価なのだわ。多くは木造で建築する方が安くなる。
建築許可を前提とする場合、プレハブやコンテナハウスは安いと言うことはありえない。

思ったよりお金がかかるよって話しでした。

せっかくなのでおまけ

他にもちょくちょく相談を受けるのがエステ。せっかくなので確認してみよう。
洗濯・理容・美容業の業種で限定列挙されているものは以下だ。

  • 普通洗濯業(7811) クリーニング工場は除く。
  • 洗濯物取次業(7812)
  • 理容業(7821)
  • 美容業(7831)
  • 他に分類されない洗濯業等(7899) コインランドリーに限る(布団専門、乾燥専門は除く。)。

日本産業分類では、エステはエステティック業(7892)となる。

不適合事例(エステはエステティック業ではない)として記載があるのは以下
あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師の施術所[8351];フィットネスクラブ[8048];理容業[7821];美容業[7831];マニキュア業[7894];ペディキュア業[7894];ネイルサロン[7894]

つまりエステは調整区域では建築許可・開発許可が認められない業種となる。

ちなみに、美容業(7831)とは、主としてパーマネントウェーブ、結髪、化粧などの美容サービスを提供する事業所をいう。

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